今思えば、歯止めが利かなくなりそうで怖かったのだ。

 














その時にいつもする事。



まず最初に必ずキスをする。

触れるだけだったり、いきなり深かったりはその時次第。




ある程度行為が進むと、今度は手に唇を落としだす。

これも手の甲だったり、指先を口を含んだりと様々。



そして最後に手を組み合って眠る。








大事に、大事に

まるで、壊れやすい硝子の人形でも抱きしめるかのようにーーーーーーー










大きな窓の外を見ながら、小さく口ずさむ。

まだ私が小さな頃に覚えた歌。

意味もよく分からずに歌ってた歌は、子守唄。

しかし小さな頃から今まで、不思議といつも懐かしさを感じで時々歌う。





ガラスの外の世界は、まだ朝と呼ぶには早く、

けれどもう夜と呼べるほど、暗くもない。



視線を空から部屋の中、中央にあるベットに移す。


すうすうと眠る相手を見つめる。

その顔は本当に気持ち良さそうで、知らず笑みが浮かぶ。



基本的に、耕助は自分をとても大切に扱ってくれる。

………………………………くれるのだが、




「…………時々、理性吹っ飛んだ様にする事もあるし」

「………ふぁ?」




一度寝たらなかなか起きない耕助が、珍しくも私の声に反応して目を開ける。



眠る前まで腕に感じていただろう重さがないのに気付いたのか、

キョロキョロと辺りを見渡す様子が、何だかおかしくなって小さく笑う。




「そっちじゃないわよ」




声をかけるけれど、場所はあえて教えない。

これくらい、すぐにわかってもらわないと。

私が嫌だから。




はたして耕助は顔を横に向けて、すぐに私を見つけた。




「何でそんなトコいんだ?」




「そんなトコ」というのは、さっきまで私が寝ていた

(今も耕助が寝ている)ベットから少しだけ離れた椅子。



私は二つあったシーツの一つを軽く羽織って、椅子の上に体育座りをしている。




「ちょっと離れて見てみようかなぁ、と」

「何だ、それ」




少し不服そうに耕助は目を細める。

それから耕助は隣の、先ほどまで私が寝ていた場所辺りを、もそもそと探ってから、

もう一度私に向き合って、シーツの端を捲って、




「こいよ。いないと寂しい」



そう言って、なんだか耕助らしくなく大人っぽく笑った。






あんたはいくつになっても本当に変わらない。

どこまでいっても相手の為を思って行動するのでしょう。



本当は、

まだ行為に慣れない私を気遣って、色々と我慢してくれていたのを知っている。

私は、でもそれに気付きながら、やっぱりまだ少し怖くて、進めないでいた。

それを含めて、あんたは笑って、今の私を抱きしめてくれていたのでしょう。




耕助に抱っこされるのは、とても安心する。

あったかくて、大きくて、満ち足りたようで、大好き。




けれど、足りなくなったのは私。

あんたが「女」にした私が 


「足りない」


って叫んでる。






片足ずつ床に足を降ろしながら、そのまま進む。

ベットに入る前に、私から耕助に深く口付ける。

固まった相手の下唇を、ぺろりと舐めて両手で顔を包み込む。





もう我慢しなくていいよ。

大丈夫。私は壊れたりしないから。

そんな壊す事を怯えるように抱きしめなくていいから。








「耕助、耕助………………っ、こうすけ………………」







きっと世界中探しても、私には彼以上に愛しいものを見つける事はできないだろう。









「あい、っ………………あい、あい……あいっ」











そしてきっと、彼が呼んでくれる自分の名前以上に誇らしく感じるものなどないのだろう。










悲しいわけじゃないのに、涙がでる。









「………………なぁ、さっきの歌、さ」

「うん?」





今までよりもきつく抱きしめる腕の中。

顔を上げて、その先を促す。





「もう一回、歌ってほしい」





その申し出に、私はだから笑顔で答えた。







ならば愛しい人よ、私はあなたが眠りにつくまで、

あなたの腕の中、歌い続けましょう。










 









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意味不明になってしまった…………。反省。

植木が森ちゃん相手に実は色々我慢してたんだよーって事なんです。