時期神様を決めるバトル中、選ばれた中学生はチームそれぞれにホテルを与えられる。
だが、食事等は各自で準備しなけれはならず(材料はもちろん用意してくれてるが)
植木チームは当番制をとる事にしていた。本日の朝食当番は森あいだ。



チームメンバーより1時間程早く起きた彼女は、さて、メニューをどうしようかと考えた。
……まぁ自分が作るものは何故だがもの凄い見た目になってしまうのだが、味は保証付きだ。
炊飯器があと30分で炊きあがる、とピピッと二回鳴った。
昨晩仕掛けておいて、ご飯にしようというのだけは決めていたから。あとはおかずだけだ。



「玉子と…あっ、鮭がある。あとツナ缶とハムと…」



どうやらメニューは決まりそうだ。時間はたっぷりある。
鮭はとりあえず塩をかけてオーブンへ。ハムは半月の形になるように半分に切る。
卵をボウルに割り入れ、かき混ぜようとしだした時に階段を誰かが降りてくる音がした。



「………あれ、森?」
「おはよう植木。てかあんたまだ半分寝惚けてるでしょ?先顔洗ってきなよ」
「んー……」



ちゃんと分かって返事したのかどうか微妙だが、少年は洗面所に歩いていった。
確認した時間はまだ6時15分。あの常に眠そうな顔をしているような少年が一番とは珍しい事もあるものだ。

さて、自分は料理の続き、と再び作業に戻る。
溶いた卵4個分の中に汁を切ったツナをいれて、またかき混ぜる。
卵4個は多いと言うなかれ。ここには成長期な少年が3人もいる。
彼等は想像したよりずっっと量を食べるので最初は本当に驚いたのだ。
味付けにツナ缶の汁を少しと塩こしょうを入れて油をひいたフライパンの中へ。
最初玉子焼きにしようと思っていた卵は好きな量を自分でとれるように、とスクランブルエッグに変更。



「旨そう…」



忙しく箸を使う自分に先ほどの少年、つまり植木が話かけた。
どうやら顔を洗った事で多少眠気は消えたらしい。
………それでも十分眠そうに見えるのだが。



「なぁ今日はあのタコ足とか出てないのな」
「あ〜あれは…何かこう、気合い入れて工夫したらあーゆーのになるのよ」
「ふーん…変なの」
「アンタ朝ご飯抜き」
「ごめんなさい」
「あーもー!あっちで待ってなさい」



定着化しているやりとりは今朝も行われて。



「なーちょっと食っていいか?」



出来たてのスクランブルエッグ(ツナ入り)にのびる手を思いっきり叩く。



「いてぇ」
「もうすぐ出来るから我慢しなさい。ほら!コレあげるから、あっちで座っててよ」



言いながら、ほぐした鮭を箸で摘んで植木の口元に持っていく。
促されるままに口を開いて鮭を味わっている植木を見ながら餌付けしているようだと思ったのは内緒だ。



「ん…」
「も少し待っててね」



今度こそ素直にソファーに腰かけた少年を背に、料理の続きをする。後は仕上げだけだ。
ほぐした鮭をご飯に混ぜ、残りはそのまま皿に盛る。大皿のスクランブルエッグには適当にハムも付けて、
昨晩の残りのほうれん草のおひたしを5人分。



「今日の朝ご飯なんだー?」
「鮭ご飯と、ツナ入りスクランブルエッグでしょ。あと昨日のおひたしに、
 お味噌汁は豆腐と薄揚げのやつ」
「お〜」
「あとさくらんぼ」
「佐野達まだか?早く食いたい」
「もう降りてくるでしょ、できた!植木、運ぶの手伝って〜」
「んー」



盆に乗った朝食を運びながら、植木が言った。



「……なんかさ」
「ん?」
「こうしてると、さ」
「うん?」
「親子みたいだな!」
「あっは!そうかも〜!植木が息子?」
「森は母ちゃんだな…うん!森が毎日朝飯作ってくれるんなら寝坊しねぇよ」
「へ〜あんたが?まっ言うだけならタダよね〜」
「ひでぇ、ほんとだって」
「はいはいっ」



そんな、一日の始まりを。









オマケ


「あほかっ!あそこは「俺達新婚みたいだな」やろ!何で親子!?そこで親子っ!?」
「植木君はもしかしたらお母さんに少し憧れていたりするんでしょうか…?」
「でも親子発言抜けばぶっちゃけプロポーズだろ、アレ」
「はぁ…俺らが気ぃつこたってんのに…アホらし!飯食うぞ!」
「私も!あいちゃんのご飯〜v」
「腹減った〜」



階段からデバガメ





バトル中、ご飯はどうしてたのかなぁ・・・と。
みんなで一緒に作るのも楽しいと思ったのですが、ね。
勝手に植木はお母さんに色々想いがある設定になってます。
コレについても色々あるので、また書きたい。
2007/09/15 修正