そろそろ良いんじゃないかと、思ったんだ。

自分の気持ちはずっと前から決まってるし、きっと彼女も同じだと思ったから。

 

 

 

『クラスメイト』

『友達』

『仲間』

『好きな女の子』

『恋人』

 

 

出会ってから時間がたっていろんな経験して絆も確かにあって。

いろんな名前の関係になったけど、そろそろもう一つ増やしてもいいんじゃないかって……

 

 

 

 

 

 

 

時間は10時を過ぎた所。場所は近くの行き着けの居酒屋。賑な雰囲気が売りの粋な店。

俺達もいつのまにか常連になって「いつもの」で通じるぐらいだ。

 

まぁ準備はそんな感じ。

騒ぎ出す心臓を必死に抑えてるのをバレてやしないかヒヤヒヤしながら

注文したものが届くまで軽いツマミとビールを二人で話しながら食べる。

 

 

あぁ気付いてるんだろうか。それとも忘れてるんだろうか・・・・?

いや多分それはない。絶対ない。

 

 

「そういや今日何の日か分かる?」

 

 

ほらやっぱり。こいつがこうゆうの忘れる筈がないんだ

 

 

「…なんだっけ?」

「やっぱりねぇ……まぁあんたが覚えてるわけないか」

 

 

………酷いな覚えてないフリしてるだけなのに。知らない(フリの)俺に怒るでもなく笑いながら告げる

 

 

「今日はあんたとちゃんと付き合って3年で一緒に暮らしだして三ヶ月目の日よ」

 

 

ちゃんとってのは、まぁちゃんと『友達』から『恋人』になったって意味で

出会ってから6・・7年?か・・・・

 

最初は『クラスメイト』だった 

 

 

「最初は宇宙人だったんだっけか?俺」

「懐かしい事言うわね……まぁ今更だけどさ」

「あっビール1つ」

「きいてんのか!」

 

 

チョップ一発。

ふ〜……まぁ、今回の作戦の犠牲にしちゃ軽いもんだ。ドンと来い

 

 

「そっか3年か。まぁ付き合い自体はもっと長いけど………

早いよなぁ長いよなぁこんだけ長いといるのが当たり前みたいになるな」

 

 

…………すげぇ俺いっぱい喋った。頑張った。不自然なくらい

 

 

「……どしたの?珍しいわねー」

 

 

内心テンパりまくりですからね

 

 

「そうかな………そうだ、あの時の事覚えてるか?」

 

 

ビールに口をつけながら疑問を含んだ目で問掛けてくるあいは、先を促すように瞬きをする。

 

 

「一人暮らし初めてすぐさ、俺が風邪引いて寝込んだ時お前すぐに

駆け付けてくれてさお粥作ってくれて……あん時一緒に暮らしたいって思ったんだ」

 

 

我ながらスラスラ喋れた気がする。酒の力もたまには借りるものだ。

 

 

「………酔ってる?」

 

 

聞いてくる彼女は珍しい物でも見るみたいに話す。

まぁ確かに俺普段、全然酔わないしな。

 

 

「酔ってない………あっと乾杯」

 

 

今更だけれど、改めて乾杯。

ジョッキで運ばれてきたビールを軽く掲げ本日二杯目を飲み始める。

因みにあいは一杯目半分くらい。あんまり強くはないからゆっくり飲む。

 

 

「………こんだけ長くいてもまだ一緒にいたいのなんて多分お前だけだな」

 

 

横目で見る彼女はよくは分からないが、何かを察したのか少し驚いたような、

でもどこか呆けたような顔で俺の横顔を見つめている。

 

今日の計画の目的完遂までもう少し。

 

コトリ、と俺と彼女の間にテレビなんかでこーゆー事言う時に定番だろう紺の箱。

時間はもうすぐ11時。場所は居酒屋カウンター前。

約束の証明は紺の箱の中。

 

これだけ揃えば鈍いお前でも分からないなんて言わせない。

 

 

本日の『植木耕助プレゼンツ 夫婦になりませんか計画』(命名アドバイス 佐野)最後の締め括りのセリフ

 

 

「結婚でもするか」

 

 

お前が夢見てたかもしんないロマンチックなモノじゃないけど。

俺にはこれが一所懸命な思いだから。

俺にはドラマや映画みたいなのは無理だから、こんな告白になったけれど。

思いは絶対、ドラマなんかに負けやしない。

だから、いつもみたいに笑ってくれる姿を想像しながら返事を待つ。

そしてそれが俺にとって嬉しいものならいいなと思いながら。

 

 

クラスメイト友達仲間恋人、あと…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

植木のプロポーズ話。

因みに元ネタがありまして。

某ラジオの最後に流れるキャストによる1人芝居(?)のセリフです。

色んなシチュエーションの設定があって、これもの元ネタもその一つ。

ロマンチックなプロポーズもモチロン良いんですけどね、

この二人にはこんな雰囲気でも良いんじゃないかと思いまして。

植木的、一世一代の告白は居酒屋だったようですよ(笑)

 

 

 

 

 

おまけ